睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
文字どおり「寝ている間に呼吸が止まってしまう病気」のことを言います。英語の「Sleep Apnea Syndrome」を略して「SAS(サス)」とも呼ばれます。
睡眠中に無呼吸を起こすと、血中の酸素濃度が下がったり、脳が覚醒させられたりします。
また、努力呼吸が強くなり胸腔内を陰圧にするため心臓などに負担がかかります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は危険な病気
SASは、心臓、血管、肺などさまざまな部分に非常に大きな負担をかけるため、命にかかわるトラブルを引き起こす恐れがあります。次のような病気のリスクが高まります。
- 高血圧
- 動脈硬化
- 脳卒中
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 糖尿病
こんなときは睡眠時無呼吸症候群(SAS)に注意
いびきや昼間の眠気や倦怠感、熟睡感がない、朝起きたときに頭痛がするなど、さまざまな症状を伴います。
- いびきをかく(自覚がなくても、指摘されたことがある)
- 夜中に何度も目が覚める
- 歯ぎしり、叫び声、寝汗
- 日中に眠気を感じる
- 朝起きた時に頭痛がある、口がかわいている
- いつも熟睡感がない
SASはどんな人がかかりやすいの?
肥満気味の中年男性に多いというイメージがありますが、やせている人でもかかります。また、子どもや女性がかかることも少なくありません。
首が太くて短い人、舌や舌の付け根が大きい人、下あごが小さい人、あごが後退している人など、体型的に気道がふさがれやすい人がかかりやすい特徴があります。
睡眠時無呼吸症候群の診察・検査方法
まずは視診や内視鏡検査によりいびきや無呼吸の原因となる病変がないかを確認します。副鼻腔炎や鼻ポリープ、腫瘍などの原因がある場合はそちらの治療を優先します。これらの病気がなく、SASが疑われる場合、まずは自宅で行える簡易検査器を使っていびきや呼吸をチェックします ( 3割負担で3500円程度 )。重症の方はこの検査のみで治療を開始することもあります。
簡易検査の結果SASの疑いがあったり、詳細な診断が必要な場合は、確定診断をするために詳細な検査「終夜睡眠ポリグラフ ( PSG ) 検査」を行います。この場合、精密検査機関を紹介受診していただきます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法
CPAP治療は、SASの最も代表的な治療方法です。
具体的には、睡眠中に鼻マスクを装着し、機器からエアチューブを伝って鼻マスクへ空気を送り込み、その力で舌を持ち上げ、気道を開かせるというもので、Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとってCPAP ( シーパップ ) と呼ばれます。
CPAP治療をすることで深い眠りが得られ、無呼吸の症状が改善するだけでなく、生活習慣病を予防したり、改善することが報告されています。
CPAP治療は治療効果の高い治療方法ですが、根治療法ではありません。
使用していない日は治療効果がありませんので、できるだけ毎日使い続けることが大切です。
慣れるまで2〜3ヶ月ほどかかる人もおられます。しっかり治療することで症状が改善されます。
また、治療を効果的に行うためにも自分の生活スタイルを見直し、生活習慣の改善 ( 減量、飲酒をひかえる、禁煙など ) を心がけることが大切です。
CPAP治療の費用はどのくらいかかるの?
中等症以上の睡眠時無呼吸症候群 ( SAS ) の場合 ( 1時間に10秒以上の呼吸停止が20回以上ある ) は健康保険が適用されます。
自己負担額は3割負担で月に約5000円です。
ただし、健康保険でこの治療を受けられる場合、月に1回、必ず外来受診することが必要です。